若手人材育成のポイント:まずは本音を言える信頼関係作りから

企業の人事担当者、現場のマネージャーにとって悩みが尽きない若手人材育成の問題。
売り手市場の中、やっとの思いで採用までこぎつけた人材を、辞めさせることなく、一人前に育てなくてはいけないというプレッシャーが強くかかっていることでしょう。
今の20代はゆとり教育の中で育ち、バブル崩壊後の時代を生きてきています。
大きな災害やリーマンショックなどの不況を経験し、親世代がリストラに遭う姿を見て育ちました。
そんな若者を育てるためのポイントとは何なのでしょうか。
リクルートワークス研究所の研究誌「Works」のNo.146の特集「若者を発芽させる」に一つの解がありました。
【若者を発芽させるプロセス】
1.堅い殻をかぶった種
2.温かい環境で殻を破る
手厚く、丁寧に、見守りながら成長を支援する
3.極寒の場で双葉を育む
唯一の正解がないなかで、自律的に意思決定・行動させる
今の若者たちは、意欲や破棄がないわけではなく、社会や人の役に立ちたいという要求を持っているのだそうです。
一方で、その気持ちを堅い殻の奥にしまい込んでいるのだとか。
だから、まずはその堅い殻を破ることから始めなければいけないと言います。
そして会社は本音を言ってもいい場であり、社会や人の役に立つために、挑戦しがいのある場だと理解してもらいます。
本誌の中では、いくつかの事例が紹介されていますが、そこに共通するのは、新入社員を「甘やかす」のではなく、先輩、上司が温かく見守っている点。
「ここは安心して本音を言っても大丈夫な場」だと若者が思えるだけの信頼関係が育っています。
赤ちゃんが母親のお腹の中から生まれ、信頼関係を構築し、やがて親の手を離し公園などで遊べるようになっていく過程と似ているかもしれません。
そして信頼関係ができた後、若者は自らの意志で厳しい経験をし、成長できる場が用意されています。
たとえば、サイバーエージェントでは、新卒入社後間もない人材を積極的に子会社社長に抜擢し、経営を任せているとのこと。
サポート役には、本社の役員クラスが入るのが常だそうですが、あくまでも相談役に徹しているそうです。
そして「挑戦に伴う失敗はOK。その人にはセカンドチャンスを与える」と公言しています。
経営陣や上司が若者を信じ、任せ、応援してくれることで「職場が安心して挑戦できる場」となり、良いスパイラルが生まれているのでしょう。
当然ながら、時代とともに入社してくる若者も変化してきます。
若者の意識や常識が我々の世代と異なることを恐れず、本音をくみ取り、先輩として若者に歩み寄ること。そこから一緒にスタートしてみることも必要かもしれません。
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